鍼灸臨床研究:不妊治療効果の再現性と思わせる貴重な1例

女性、初来院時31歳、ご結婚されて3年余。人工受精2回、海外で顕微授精2回を受けても妊娠に至らず、当院で7か月半に渡って合計29回の鍼灸施術を受けた後、自然妊娠に至りました。妊娠された後は、悪阻の為、当院で5回の鍼灸施術を受けて、悪阻を乗り越え、妊娠も順調に推移したが、不意なことに、ご出産予定の1か月前に、胎児が母体の中に亡くなっていたことになりました。病院の医者達もその原因は断定できないでいたが、推測としては臍帯が胎児の首に絡まったのが原因ではなかろうかと言っていました。

悲しみに暮れた患者さんですが、2か月後に妊活を再開。ご主人の転勤先の大都会で、「不妊専門」と謳った鍼灸院で3、4か月に渡って施術を受けたが、効果が感じられなかった為、再び実家に戻り、当院へ施術を受けに来られました。今回は、4か月に渡り、当院で合計9回の施術を受け、再び妊娠に至りました。今回は、妊娠全過程で経過が順調で、予定日より数日遅れて無事ご出産されました。

本件は個例報告ではありますが、不妊に対する鍼灸治療の効果を観察する上で、多少の意味があるのではなかろうかと思います。